先週は急落に次ぐ急落、そして中銀による緊急利上げと激動の一週間だったトルコリラだが、本日も中々のビッグニュース。
何とトルコ中銀が政策金利を簡素化、かつ政策金利の主軸である1週間物レポ金利を引き上げるというのだ。
その前にトルコの政策金利についておさらい
元々トルコの政策金利は以下の三種類があり、各金利幅が固定されていないコリドー制という、世界的にも珍しく、そして複雑な金利体系を取っていた。
1週間物レポ金利:平常時中銀から各銀行へ融資する金利。政策金利の中心。
翌日物借入金利:銀行で余剰資金が生じた際、中銀に預入する際の金利。事実上の下限金利。
翌日物貸出金利:銀行で資金不足が生じた際、中銀から資金調達する際の金利。事実上の上限金利。
ただし、2017年以降は翌日物貸出金利を無視し、後期流動性貸出金利という銀行間資金調達の為の金利が市場金利上限として設定され、実に4種類もの政策金利が登場するという状況になっていた。
事実上の上限・下限って?
例えば銀行で資金不足が生じた際に中銀からの調達金利<市場金利だった場合、わざわざ手間を掛けて市場で調達せずとも中銀からホイホイ借りれば良いことになってしまう。その為、市場金利はここを上限としてストップすることになる。
逆に、余剰資金が生じた際に市場金利<中銀への預入金利だった場合には、市場に貸し出すより中銀に預けておいた方が良いことなってしまう。その為市場金利はここが下限になる。
上限・下限を設けることで、急激な変動を抑える効果がある。
トルコ中銀、政策金利簡素化するってよ
トルコ中銀、政策の簡素化完了へ 1週間物レポ金利を政策金利に -ロイター 2018年5月28日
トルコ中央銀行は28日、金融政策に関して簡素化のプロセスを完了すると発表した。1週間物レポ金利を政策金利とし、現在の後期流動性窓口金利と同水準の16.5%とする。中銀は声明で、新たな金融政策の枠組みは6月1日に発効するとした。
翌日物借入金利は1週間物レポ金利を150ベーシスポイント(bp)下回る水準、翌日物貸出金利は1週間物レポ金利を150bp上回る水準となる。
銀行は過去数年にわたり複数金利による複雑なシステムに依存してきたが、これが金融政策を予想しにくくしていると指摘されていた。中銀は先週、急落したトルコリラ相場を押し上げるため主要政策金利のうち後期流動性窓口金利を3%ポイント引き上げて16.5%とした。
発表を受けてトルコリラTRYTOM=D3は上値を伸ばし1ドル=4.6070リラに上昇。25日終値は4.7052リラだった。ただ、年初来では依然18%下落している。
かねてより1週間物レポ金利など従来の政策金利は形骸化・後期流動性貸出金利こそが実態となっていたので、名目が現実に追いついた、とも
実はコリドー制は海外ウケが悪く、数年前から廃止・一本化を目指すという話は出ていたので・・・ようやくか、という感もある。
なお、今回は『一本化ではなく1週間物レポ金利を中心に上下1.5ポイント幅で固定』という簡素化である。
しかし、詳細は追って公表、という声明だったので確証はないのだが、この報道を文面通りに解釈すると『1週間物レポ金利が16.5%、翌日物借入金利は15.0%、翌日物貸出金利は18.0』とも読めるのだが・・・
そうすると、金融方針の転換と同時に再び利上げが行われることになる・・・。
こちら、詳細が出次第追記したい。
追記:やはり上限金利は18%が正解らしい。
つまり、今回の発表は金利の簡素化だけでなく事実上の1.5ポイント利上げも含んでいることになる。
大統領は国民に呼びかけ
トルコ大統領、国民にドル・ユーロ貯蓄のリラへの交換を要請 -ロイター 2018年5月29日
トルコのエルドアン大統領は26日、急落している自国通貨リラの下支えのため、ドルやユーロの貯蓄をリラに交換するよう国民に要請した。リラは年初来、対ドルで約20%下落している。
大統領は6月24日の議会・大統領選挙の遊説で訪れたエルズルム、自宅にあるドルやユーロの貯蓄をリラに交換して、リラ安に抵抗しようと、聴衆に呼び掛けた。
https://jp.reuters.com/article/turkey-currency-idJPKCN1IS0V2
確か国民投票の頃にも同様の呼びかけを行っていたので、約一年ぶり。
『トルコリラが悪意ある攻撃に晒されている』というのが彼の論だからこそ成り立つのだが・・・国民も気付かないのだろうか。
一方でシムシェキ副首相は金融政策の引き締めを表明。こちらの方がよほど現実的。
これらを受けてトルコリラ
ドルトルコリラ(USD/TRY)15分足
4.7付近にいたものが、4.5近くまで下落(トルコリラ高!)。
先日の緊急利上げの際、1週間物レポ金利を上げろよという声も多かったのでそれに答えた形となる。
参考:ドルトルコリラ(USD/JPY)15分足
こちらは109円台半ばでもみ合い。
結果、トルコリラ円(TRY/JPY)15分足
23円台前半から、一時24円直前まで。
総悲観ムードも随分落ち着いてきたように感じるが、こういう時こそ危険。
来週にはインフレ率や、当初の予定通り行くならば定例の政策金利発表もある筈なので、油断はしないで行きたい。
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