トルコリラは8月9日の夜から10日の夜にかけ、24時間で20%もの下落を見せた。
FX会社によってレートは大きく乖離しているが、底は16.2円前後。
※FX会社によっては15円台に突入している場合も
今回の暴落を簡単にまとめると
- 米国人牧師の身柄を巡る対米関係の悪化
- 新内閣の経済政策への不信
この二つが重なり、引き起こされた急落だと言えるだろう。
そんな歴史的な急落を見せたトルコリラ。一連の流れをまとめていきたい。
今回の背景はエルドアン再選と経済政策への不信感
まず、今回の急落の背景にあった問題。
- 6月25日の大統領選でエルドアン氏が再選し、独裁への懸念が高まる
- その後も利下げ発言を繰り返す
- 中銀法を改正、総裁・副総裁を解任
- 経済界から信任の厚かったシムシェキ氏を閣僚から除外
- 娘婿、アルバイラク氏を財務相に(前任はエネルギー環境相)
- その後の中銀会合で利上げ予想に反して金利据え置き
こんな感じで、エルドアンが独裁色を強め、本来独立しているべき中銀に対しても圧力を掛けていることからトルコ経済への不信感が高まっていたのが背景。
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そこに米国人牧師を巡る対米関係の悪化が重なる
今回揉めているのは、トルコで活動していた米国人牧師、アンドリュー・ブランソン氏について。
どのような経緯かというと・・・
- 2016年7月のクーデター未遂関与の疑いで、2016年10月に拘束
- 2018年7月、牧師の拘束延長が決定
- 米側が反発、釈放を要求
- 拘束→自宅軟禁へ
- 米の怒り収まらず、法相、内相に対し米国内資産凍結などの制裁
- トルコも米閣僚に対しトルコ国内資産凍結の対抗措置
そしてこの問題解決に向けて米トルコで会が行われていた、というのが8月9日までの出来事。
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これに対し、中銀・政府の対尾は・・・
この二つの背景の時点でトルコリラは既に大きく下落しており、中銀は8月7日に外貨準備率の上限を引き下げる介入を実施。
しかし、逆にこの状況でも利上げは行わない姿勢を見透かされる形となり焼石に水。むしろ不安を煽る様な結果に。
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そして、8月10日に『経済への不安を払拭するために』9月に予定されていた新経済政策の発表を前倒しにするとされていた。
今回の急落は3段階!
上記は8月10日のトルコリラ円(TRY/JPY)5分足。
図中にもあるように、今回の下落は大きく3つの出来事から構成されている。
- 米トルコ会談成果なし
- ECB、トルコ債券への懸念と報道
- アルバイラク財相による新経済政策中身無し、トランプ追い打ちツイート
米トルコ会談成果なし
米国人牧師の身柄を巡る問題解決を目指して行われた、米トルコの会談。
結局米側からは件の牧師のほかに釈放を要求する人物のリストが提示され、それにトルコが応じなかったため交渉は決裂。
トルコに一定期間の猶予が与えられたとの情報もあるが、ここはちょっと明確なソースなし。
※上記チャート上だとショボく見えるが、これでも1円弱下落している。
ECB、トルコ向け債券への懸念と報道
新経済政策の発表は日本時間夜だなーと油断していると、ECB(欧州中央銀行)がトルコ向け債権に対して懸念を強めていると報じられ、トルコリラは急落。
瞬間的に17円台まで一気に落ちていった。
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そしてとどめは新経済政策。そしてエルドアンの演説。
はっきり言って具体策が何もないスッカスカなものだった。
わざわざ前倒しして、何がしたかったんだ・・・
『経済の不安を払拭』とは何だったのか・・・
更に、その演説中にトランプ大統領が『トルコに対する鉄鋼・アルミ関税倍増を指示』とツイートしたことが追い打ちとなり、トルコリラは完全に決壊。
一時16円台前半を付けるに至った。
その後17円にまで回復して週末クローズを迎えているが、まだ事態が収束したとは言えなさそうだ。
最後に、トルコリラの日足
ドルトルコリラ(USD/TRY)日足
この1年くらいの日足。
1年前は約3.5。1年で倍近くに上昇している。
仮想通貨かよ、って感じ・・・
トルコリラ円(TRY/JPY)
一方対円、1年前は31円台。
こちらも1年で半分である・・・。
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