7月9日、トルコではエルドアン大統領による就任演説が行われ、新内閣の人事が発表された。
結果・・・トルコリラは1円近い急落!
・金融法改正による中銀独立性懸念
・市場の信任が厚いシムシェキ氏経済担当外れる
・娘婿を経済担当大臣に
それでは、詳しく見ていこう
その前日には粛清も
トルコが公務員1.8万人免職、非常事態宣言下で-メディア閉鎖も -ブルームバーグ 2018年7月8日
トルコ政府は8日、国家安全保障にリスクをもたらした疑いがあるとして、公務員1万8000人超を粛清した。再選が決まったエルドアン大統領は9日に議会で就任宣誓を行い、さらに強大な権限を手にする。
トルコは非常事態宣言下での政令として、警察官9000人程度と陸・海・空軍で6000人超を免職処分としたほか、学術関係者約200人、教員約650人も追放した。このほか新聞3紙、テレビチャンネル一つと関連12団体が閉鎖された。
トルコは2016年7月にクーデターが未遂に終わった際に非常事態を宣言し、今回分を含めてこれまでに13万人を免職とした。エルドアン大統領は6月24日に行われた選挙で再選される前、非常事態宣言を解除すると表明していた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-08/PBJXMC6TTDS001
非常事態宣言解除とか言ってる傍で、続いている間はフル活用するこの姿勢・・・。
後述する報道についても、こういうことがあった上での情報という目で見て頂きたい。
明らかに独裁色が強まっているように感じる。
トルコ中銀法改正
こちら、良いソースが見つからなかったのでポイントだけお伝えすると・・・
・総裁の推薦なしで副総裁を指名可能に
・総裁・副総裁の資格(10年以上の経験・高等教育など)が削除
・総裁の5年任期が撤廃
要するにエルドアンの機嫌一つで副総裁は指名できちゃうし、総裁の立場も危ういのでは?という話。
現中銀総裁であるチェティンカヤ氏はここ数年エルドアンに反発して利上げを貫いており、エルドアン的には面白くない存在なのだろう。
そうすると中銀の独立性が危ぶまれ、世界からのトルコに対する信頼が更に落ちる、という流れである。
→追記参照
シムシェキ元副首相、閣僚人事外れる
トルコ共和国、大統領制初の政府人事発表 -TRT 2018年7月10日
レジェプ・ターイプ・エルドアン大統領が発表した大統領制初の政府の人事は次の通り(敬称略)。
大統領:レジェプ・ターイプ・エルドアン
副大統領:フアト・オクタイ
法務大臣:アブドゥルハミト・ギュル
内務大臣:スレイマン・ソイル
国防大臣:フルシ・アカル
国家教育大臣:ジヤー・セルチュク
保健大臣:ファフレッティン・コジャ
エネルギー天然資源大臣:ファーティヒ・ドンメズ
環境都市整備大臣:ムラット・クルム
文化観光大臣:メフメト・エルソイ
青年スポーツ大臣:メフメト・カサポール
財務大臣:ベラト・アルバイラク
運輸インフラ大臣:メフメト・ジャーヒト・トゥラン
外務大臣:メヴリュト・チャウショール
労働・社会事業・家族大臣:ゼフラ・ズムリュト・セルチュク(女性)
農業森林大臣:ベキル・パクデミルリ
産業技術大臣:ムスタファ・ワランク
商業大臣:ルフサル・ペキジャン
http://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2018/07/09/su-bao-torukogong-he-guo-da-tong-ling-zhi-chu-nozheng-fu-ren-shi-fa-biao-1009139
経済面で市場の信任が厚いシムシェキ元副首相の名前が無い。
シムシェキ氏は先日の緊急利上げの流れで一役買っており、そのことでエルドアンとの関係が悪化した・・・というのもあながち邪推ではないと思っている。
(同氏は元々親中銀寄りなので、以前からなのかもしれないが。)
財務大臣として代わりに名前があるのは、娘婿のベラト・アルバイラク氏。
同氏の起用については確か2年前にも噂があって立ち消えしたかと記憶しているが・・・とうとう、という感じである。
上述した中銀法の改正によって、アルバイラク氏やその他身内を中銀副総裁に押し込んでしまうことも可能になった訳で。
その上で何かしらの理由を付けて総裁を解任等してしまえば、エルドアンの思い通りの経済体制が出来上がってしまう。
こうなったらいよいよ厳しいんじゃないか・・・。
→追記参照
これらを受けてトルコリラ
ドルトルコリラ(USD/TRY)15分足
昨晩(7月9日)の中銀法改正の噂が囁かれた頃にちょっと上昇(トルコリラ安)。※これは後述するドル上昇の影響もあると思われる。
その後、7月10日の早朝になって政府人事が発表され、シムシェキ氏・アルバイラク氏の件を受けて更に上昇。
上手く行けば4.5を割れそうなタイミングでこの仕打ちである・・・。
ドル円(USD/JPY)15分足
ドル円は昨夜遅くに20銭ほど上昇している。
とはいえ、未だ110円台。ここ2ヶ月ほど続く狭いレンジからはまだ抜け出せ無さそうだ。
トルコリラ円(TRY/JPY)分足
結果、トルコリラ円はいい感じに24円台半ばにいたところから、一時23.2円まで下落。
天井と底を比べると約5%の下落・・・これは痛い。
少し反発しているのが救いだが、本日夜の欧州・NY時間の動きにも注視したい。
追記:中銀総裁・副総裁解任される
エルドアン・トルコ大統領、トルコ中銀正副総裁を解任し後任を指名へ 報道 -GI24 2018年7月10日
一部通信社が報じたところによると、エルドアン・トルコ大統領がトルコ中銀正副総裁を解任し後任を指名するという。なお、トルコ政府は9日、5年間の中銀総裁任期を撤廃した。
言ったそばから早速、正副総裁が共に解任された。
まだ後任人事は発表されていないようだが・・・言わんこっちゃない。
この報道直後の段階では、トルコリラに目立った動きなし。
中銀法が改正された時点でここまでは織り込み済み、ということか。
直近では指名されず、24日の中銀会合に掛けて何かしらの動きがある見込み。
その後更に利下げまで示唆・・・。
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指標悪化&利下げ示唆でトルコリラ下げ圧力増す・・・【利下げ言及追記】【2018年5月トルコ経常収支】
エルドアンが正式に新制度化の大統領として就任し、早速強権を振るっている。 日曜から本日に掛けて起こったイベントとしては ・1万8千人を粛清 ・中銀法を改正、大統領に指名権 ・娘婿を財務大臣に ・中銀正 ...
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サヤ取り推奨?
ここに来て、懸念していた独裁色が一気に増したトルコ。
個人的にはこの状況下では積極的にロング推奨はし難い。
相場が下落しても利益が出るサヤ取りを検討してみては如何だろうか。
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