先週は懸念されていた政策金利を据え置き・ほぼ無風で無事に通過したトルコリラ。
クリスマス前で、実質的には年内最終週となる『週刊スワップポイント』のトピックスは・・・
- トルコ:指標は軒並みイマイチ
- トルコ:ギュレン師送還は改めて否定
- アメリカ:トランプ大統領の牽制を跳ね除け、無事に利上げ
- トルコ:シリア攻撃とアメリカのシリア撤退
- アメリカ:再び政府機関閉鎖懸念でリスクオフムード
ざーっとまとめると
トルコの指標は全面的にイマイチだが、大きな動きはなし。
アメリカはギュレン師の代わりにシリア・ミサイル売却でトルコに歩み寄り。
米トルコ関係は比較的良い方向に向かいそうで、トルコリラはやや上昇
しかし、利上げが疑問視されていたFOMCでは無事に利上げ & 米政府機関閉鎖懸念でトルコリラは下落し、21円割れで週末クローズ。
・・・といった感じ
トルコ:指標は軒並みイマイチ
12月17日 16:00 トルコ10月工業生産(前年比)
予想-4.0%に対し、今回-5.7%。(前回-2.4%)
12月17日 16:00 トルコ9月失業率
予想11.1%に対し、今回11.4%。(前回11.1%)
12月17日 16:00 トルコ10月小売販売(前月比)
予想-2.0%に対し、今回-2.6%。(前回-4.4%)
12月17日 16:00 トルコ10月小売販売(前年比)
予想-4.2%に対し、今回-7.5%。(前回-2.9%)
12月20日 19:30 トルコ11月自動車生産(前年比)
予想情報なし、今回-5.7%。(前回-2.4%)
12月20日 23:30 トルコ11月中央政府債務
予想12.0億トルコリラに対し、今回10.0億トルコリラ。(前回11.0億トルコリラ)
- 工業生産・小売販売:予想よりも悪化しているが、通貨安を考えれば致し方ない部分も
- 失業率:一度一桁になってからの5ヶ月連続上昇。頂けない。
- 中央政府債務:2018年8月をピークに、3ヶ月連続の減少。
- 自動車生産:もはや空気。
といった感じで、全体的に微妙。
中央政府債務が減少・経常収支も黒字化しているのは好ましいことだけど・・・債務自体はあまり重要視されてないのが難点。
トルコ:ギュレン師送還は改めて否定
米大統領はギュレン師送還約束していない=ホワイトハウス当局者 -ロイター 2018年12月18日
米ホワイトハウスの当局者は17日、トランプ大統領がブエノスアイレスで行われた20カ国・地域(G20)首脳会議でトルコのエルドアン大統領に在米イスラム指導者ギュレン師のトルコ送還を約束した事実はないと明らかにした。
(抜粋)
https://jp.reuters.com/article/turkey-usa-gulen-trump-idJPKBN1OH0EE
この数日前に『アメリカがギュレン師の送還を準備』という報道があったのだが、それを否定する形での発言。
先月もトランプ大統領が否定しており、恐らく送還はないのが本線だろう。
恐らくは、ギュレン師送還の代わりに後述する『シリア撤退』『ミサイル売却』というカードで決着したのでは?と推測している。
トランプ大統領にとっては、ギュレン師は最後まで温存しておきたいカードなのだろう。
アメリカ:トランプ大統領の牽制を跳ね除け、無事に利上げ
米FRBが25bpの利上げ決定、来年の引き締めペースは減速 -ロイター 2018年12月20日
米連邦準備理事会(FRB)は19日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25─2.50%に25ベーシスポイント(bp)引き上げることを決定した。利上げは予想通り。
FRBが示した2019年の利上げ回数の見通しは2回。
9月に示した前回見通しの3回から減少したことで、市場のボラティリティーが高まり、世界的な成長が鈍化する中、FRBの引き締めサイクルが終盤に差し掛かっている可能性があることが示唆された。
金利先物市場が織り込む来年の利上げ回数はゼロとなっている。
トランプ大統領が利上げをしないように牽制しており、今回のFOMCでは金利据え置きもあり得るのでは?と懸念されていたが、無事に利上げ。
しかし、いよいよ利上げも終わりに向かっている気配あり。
2019年は2回の利上げ予定とのことだが、果たして・・・。
トルコ:シリア攻撃とアメリカのシリア撤退
トルコ、シリア作戦「数カ月中に」 米軍撤退表明で -日本経済新聞 2018年12月22日
トランプ米政権によるシリアからの米軍撤退表明を受け、トルコのエルドアン大統領は21日、「満足と同等の慎重さで受け止めている」と述べた。早期開始を警告していたシリアのクルド人勢力を標的とする越境軍事作戦については一時見合わせたうえで、数カ月中に着手する考えを示した。
トルコは米軍が過激派組織「イスラム国」(IS)掃討で重用してきたシリアのクルド人民兵組織を国内の非合法組織の分派とみなし、米側に支援打ち切りを求めてきた経緯がある。米軍という「後ろ盾」を失う形のクルド人勢力は苦境に追い込まれている。
エルドアン氏は14日の電話協議でトランプ米大統領から「IS(の残存勢力)を一掃できるか」と打診されたことも明かした。エルドアン氏が請け負ったことが、トランプ氏の撤退決定につながったとの認識を示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3929642022122018NNE000/
シリア攻撃で対米関係大丈夫かな?と懸念していたが、どうやらその心配はなさそうだ。
恐らく水面下では
- ギュレン師は引き渡せない
- 代わりにシリア撤退するから、クルド人掃討好きにやって。ついでにISもよろしく。
- パトリオットミサイルも売ってあげるから、ね。
という交渉があったのではないだろうか・・・と邪推している。
パトリオットミサイルはこちら。
米、トルコへミサイル売却承認 ロシア製に対抗 -CNN 2018年12月21日
ワシントン(CNN) 米国務省は20日までに、米国製の地対空ミサイルシステム「パトリオット」をトルコに売却することを承認したと発表した。契約総額は35億米ドル(約3920億円)相当。
トルコが検討を表明したロシア製の地対空ミサイル「S400」の導入阻止を狙っている。米国はS400調達が実現した場合、トルコも加盟する北大西洋条約機構(NATO)の兵器システム情報がロシア側に漏れるとの懸念を強めている。
これで、トルコはかなりアメリカ寄りになったと言える。
アメリカ:再び政府機関閉鎖懸念でリスクオフムード
ドル上昇、政府機関閉鎖懸念で安全買い=NY市場 -ロイター 2018年12月21日
ニューヨーク外為市場では米政府機関閉鎖の懸念が高まるなか、安全資産としてのドルに買いが入った。
米議会下院は前日、トランプ大統領が要求するメキシコとの国境の壁建設費用50億ドルを含むつなぎ予算法案を可決した。しかし上院で承認されるめどは立っておらず、22日から政府機関が一部閉鎖されるリスクが一段と高まっている。
こうしたなかトランプ大統領はこの日、上院はつなぎ予算案を可決せず、午前0時に一部の政府機関が閉鎖される公算が大きいなどと発言。これを受け米株価は大きく下落し、ダウ工業株30種は一時2017年10月以来の安値を付けるなどした。
ウエルズ・ファーゴ証券(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、ニック・ベネンブローク氏は「現時点では、トランプ大統領がつなぎ予算の可決に向け取り組むことに合意するのか、連邦政府の閉鎖に向かうのかは不明」とし、実際に一部の政府機関が閉鎖される事態となれば、ドルの上昇は来週も継続するとの見方を示した。
予算を巡り、再びの米政府閉鎖リスク。
22日現在、実際に一部の政府機関が閉鎖されているようだ。
クリスマスシーズンの薄商いの中リスクオフが来週も継続するとなると、トルコリラなど新興国通貨的には頂けない状態である。
これらを受けて各通貨の反応
トルコリラ円(TRY/JPY)1時間足
トルコリラは対米関係の改善期待から一時上昇したのだが、その後のFOMCによる利上げ、政府機関の閉鎖懸念リスクオフなどで下落。
結果として21円を割り込んでのクローズとなってしまった。
南アフリカランド円(ZAR/JPY)1時間足
南アフリカランドも基本的には同じような動き。
違うのは、ポジティブ材料がなかった故に利上げ・リスクオフ共に直撃してしまったところ。
7.5円台は10月末以来、約2ヶ月ぶり
7.5円を割り込むと7.2円あたりまで明確な抵抗がなく、一期に下落する恐れもあるので注意しておきたい。
メキシコペソ円(MXN/JPY)1時間足
3通過の中では、メキシコペソは最も無風に近かった。
それでもやや下落ムードであり、あまり嬉しくはないのだが。
来週のポイント
- まずは政府機関閉鎖と予算案の行方
- そして、クリスマス休暇での薄商いの中急変に注意
何と言ってもこの二点だろう。
12月31日には取引できるFX会社も多いが、実質的には来週が今年の最終週。
大きな激動なく、平穏に終わってくれれば御の字である。
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